Yahoo!ショッピングにおいて、広告の活用は売上アップのために欠かせない重要な施策のひとつです。

特に、多くのストアが重視する指標として「ROAS（広告費用対効果）」が挙げられます。しかし、「広告を出しているのに期待した成果が得られない」「ROASがなかなか改善しない」と悩むストアも少なくありません。

このような場合、どのポイントをどのように改善すれば、より効果的な広告運用ができるのでしょうか？

そこで今回は、ROASを適切に評価するための考え方と、効果的な広告運用のための確認・改善ポイントについて詳しく解説します。

ROASを改善するために理解すべき基本

ROAS（Return on Advertising Spend）は、広告費に対してどれだけの売上が生まれたかを示す指標です。

■ROASの計算式

ROAS=広告経由の売上÷広告費用×100（%）

ROASの値が高ければ高いほど広告の費用対効果が高かったと判断できます。

まずは、自ストアにとっての目標ROASはどれくらいなのか、確認してみましょう。

目標とするROASはどのくらいなのか？

ROASの目標値はストアの状況・粗利率・客単価によってさまざまです。

客単価が高いとROASが高くなる傾向があるため、取扱い商品カテゴリによってもROASの基準は変わります。

他店の目標ROASの参考値ですが、利益率の高い商材は300％～目標にしていたり、利益率が低い商材は600～800％を目標にしていたりします。

自ストアの目標ROASはどれくらいなのか、以下の目標設定方法を参考に検討してみてください。

または、アイテムマッチ人気カテゴリランキングデータを参考に設定する方法もあります。

アイテムマッチ人気カテゴリランキングデータを参考にする

Yahoo!ショッピングでは、毎週水曜にアイテムマッチ人気カテゴリランキングが更新されています。

ここでダウンロードできるカテゴリ別の人気ランキングデータにROASも掲載されています。

▶【毎週水曜更新】アイテムマッチ人気カテゴリランキング（Yahoo!ショッピングストア限定）
※アクセスにはストアアカウントを取得のうえ、ストアクリエイターProへログインが必要です。

上記のページでは、Yahoo!ショッピングのカテゴリごとに、表示回数の多い順で、アイテムマッチの指標となる数値レポートがダウンロードできます。

ROASを評価する際の基本プロセス

自ストアにとっての目標ROASをどのあたりに設定するかを決めたら、その基準も参考にしながら、効果測定、運用を行っていきます。

しかし、ROASを気にしすぎるあまり、単純にROASを向上させる目的で広告予算を削減したり、入札単価を下げたり、入札対象の商品を減らしたりすると、かえって広告の露出機会が減少し、結果として売上が低下してしまう可能性があります。

ROASを評価する際に大切なのは、以下のような広告の基本プロセスを理解し、目標とする売上に見合った集客がされているか、その集客が購買につながっているかを確認、改善することが重要です。

1. 入札した商品が適切に表示されているか？
2. 入札した商品がクリックされているか？
3. クリックされた商品が売上につながっているか？

どこに原因があるのかを正しく理解し、改善につなげていきましょう。

ROASについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶広告効果の目安「ROAS」を徹底解説

1.入札した商品が適切に表示されているか？

広告が表示されなければ、クリックも購入も発生しません。まずは広告の表示回数をチェックしましょう。

広告が適切に表示されているかどうかを確認することで、お客さまに入札した商品が見られているかどうかを判断できます。

確認ポイント

以下の内容を確認してみてください。

• 管理画面で表示回数を確認する
• 入札価格が低すぎないかチェックする
  →競合の入札価格や広告の利用状況を調査する（アイテムマッチ人気キーワードランキングや検索画面より）

入札した商品が表示されていない場合、入札額が低すぎる、競争が激しいなどの要因が考えられます。

管理画面で表示回数を確認する

まずは、アイテムマッチの管理画面で表示回数を確認しましょう。

実績レポートで「月別」「日別」「カテゴリ別」「商品別」の結果が確認できます。

アイテムマッチの配信結果について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶アイテムマッチの広告効果を確認しよう！配信結果の見方を解説

入札価格が低すぎないかチェックする

入札価格について確認する場合は、上記の「アイテムマッチレポートを見る方法」で入札価格（CPC）を確認してください。

アイテムマッチの最低入札価格は25円ですが、一律最低入札価格に設定していると、表示順位が低く、なかなか表示されないという可能性があります。

商品を個別入札している場合は、商品別レポートでも入札価格（CPC）を商品別に確認しましょう。

表示回数を上げるための改善策

表示回数が低い場合は、適切な調整を行い、広告の表示機会を増やす必要があります。

表示回数を上げるための具体的な改善策は以下のとおりです。

• 入札商品を増やす：全品指定価格入札を併用するなど
• 入札価格をチューニングする：入札価格が低すぎると広告の表示機会が減るため、適正な金額に調整する
• 予算を見直す：月次予算を上げて、配信ボリュームを増やす

入札商品を増やす

入札している商品が少なければ、入札商品を増やしていきましょう。

広告運用に成功しているストアは取扱い商品の半数以上を入札しているというデータもあります。

■予算消化80％以上、月商別入札商品設定率

月商	～10万	～ 30万	～ 50万	～ 100万	100万～
入札商品設定率	50%	47%	58%	54%	60%

表示回数を増やし、広告運用を成功させるためには、最低でも出品商品の半分以上を入札、もしくは「全品指定価格入札」×「個別入札」の併用で、まずは全商品を入札してみてください。

他ストアの成功事例について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶もう迷わない！入札は出品商品の50％以上が◎｜広告運用成功ストアの実績公開

入札価格をチューニングする

現在の入札価格が適正かどうかはアイテムマッチの人気カテゴリランキングを確認して、チューニングしてみてください。

アイテムマッチ人気カテゴリランキングでは、アイテムマッチで表示されたカテゴリのランキングが公開されており、毎週水曜日に平均CPC、平均ROAS、推奨入札価格、平均CTRが更新されています。

平均CPC（入札価格）や推奨入札価格がカテゴリ別で確認できるので、自ストアで入札している商品と見比べて、新たに入札価格を設定するといいでしょう。

特に売りたい商品に関しては、推奨入札価格+10円で設定してみてください。

アイテムマッチ人気カテゴリランキングについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶集客を最大化｜アイテムマッチ人気カテゴリランキングをチェックして広告運用を最適化しよう！

予算を見直す

商品が1人でも多くのお客さまに表示されるように、特に大型販促イベントのある月などはアイテムマッチの月次予算を上げてみることも検討してみましょう。

月次予算を上げておくと、広告配信ボリュームが増え、露出が強化されます。

表示回数の改善について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶検索で商品の表示回数を増やすためには？｜アイテムマッチ運用テクニック

2.入札した商品がクリックされているか？

広告が表示されていても、クリックされなければ意味がありません。

クリック数（訪問者数）やクリック率（CTR）が低い場合は、広告の内容や表示方法を見直す必要があります。

次は、クリックされているかどうかを確認していきましょう。

確認ポイント

以下の内容を確認してみてください。

• 管理画面でクリック数、クリック率（CTR）をチェックする

クリック数、クリック率（CTR）が低い原因として、商品画像が魅力的でない、競合と差別化ができていないなどが考えられます。

管理画面でクリック数、クリック率（CTR）をチェックする

表示回数の項目で説明した「アイテムマッチレポートを見る方法」でクリック数、クリック率（CTR）を確認します。

アイテムマッチ人気カテゴリランキングデータからカテゴリ別の平均CTRが見れるので、入札商品のクリック率（CTR）と比較してみてください。

平均CTRより低いものは対策を検討しましょう。

クリックを上げるための改善策

クリック数（訪問者数）やクリック率（CTR）を向上させるためには、広告画像として使用される商品画像を見直し、他店と商品が並んだ際にお客さまの関心を引く工夫が必要です。

• 商品画像を見直す：ぱっと見て商品がわかりやすい画像を作成する
• クーポンバッジを表示させる：クーポンバッジを集客に利用する

他店の商品と専用枠で並んだ際に、クリックしたくなるような商品画像やクーポンをつけることで差をつけましょう。

商品画像を見直す

商品画像はYahoo!ショッピングの検索結果、カテゴリリスト、アイテムマッチでサムネイル表示されます。

そのため商品画像の印象がよければ、クリック数（訪問者数）に影響します。Yahoo!ショッピングの商品画像ガイドラインに沿った、わかりやすい商品画像作成を心がけましょう。

商品画像の作成には、B-Spaceのらくらく画像制作ツール「GAZN（ガゾーン」が便利です。

豊富なテンプレートを選んで写真や文字を入れ替えるだけで、誰でも簡単に商品画像やバナーが作成できます。

商品画像作成について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶クリックされるには第一印象が大事！!売れる商品画像に共通するポイント

クーポンバッジを表示させる

入札商品にクーポンが発行されていれば、検索結果やカテゴリリストで並んだ際にクーポンが表示されます。

クリック率を上げるためにもクーポンを発行してみましょう。

■クーポン表示例

クーポンの集客効果について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶クーポンは集客にも効果アリ！購買率だけじゃないクーポン活用法とは？

3.クリックされた商品が売上につながっているか？

入札した商品が表示され、クリックもされているのに売上につながっていない場合は、購買率（CVR）が低い可能性があり、当然ROASが悪化します。

購買率を確認して、購買につながらなかった要因は何かを分析し、改善をしていく必要があります。

クリックを増やすことは可能ですが、最終的に購買に結びつけるには商品力も重要です。

購買率（CVR）が低い原因として入札している商品そのものが良くない、商品ページで魅力を伝えられていない、価格が競争力に欠ける、購入を決断する要素が不足しているなどが考えられます。

確認ポイント

以下の内容を確認してみてください。

• アイテムマッチ経由の購買率、要因を分析する
  ・商品
  ・商品ページの情報
  ・値引条件

■アイテムマッチの構造

アイテムマッチ経由の購買率、原因を分析する

表示回数の項目で説明した「アイテムマッチレポートを見る方法」で購買率（CVR）を確認します。

月別レポートで全体を見たときに、購買率（CVR）が低くなってしまっている場合は、商品別レポートで購買率（CVR）が低くなっている商品を確認します。

購買率（CVR）の低い原因はどこにあるのか、商品別に分析をします。
「商品力が弱いのか」
「商品ページの情報が不十分か」
「価格や値引条件が競合に負けていないか」

購買率アップについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶アイテムマッチ経由売上の伸び悩み原因と注文数を増やす方法を解説

購買率を上げるための改善策

入札商品の購買率をあげるために、購買率（CVR）の低い商品の価格を下げたり、購買率（CVR）が高い、売れ行きの良い商品を追加したりすることで、さらに売れるように調整しましょう。

• 商品力を上げる：売れ筋商品や購買率の高い商品を追加する
• 商品ページを見直す：商品ページの説明をわかりやすくし、購入に関する不安をなくす
• クーポンやプロモーションを活用する：購入を後押しする施策を導入する

商品力を上げる

アイテムマッチ経由の購買率を上げるためには、商品力を上げることが重要になってきます。

「売れ筋商品」や「購買率の高い商品」を選定して、入札商品を追加しましょう。

売れ筋商品を一括で入札する方法について詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶売れ筋商品を一括入札！アイテムマッチの商品を一括で登録（追加・変更・削除）する方法

商品ページを見直す

商品ページに、お客さまが商品を購入するのに必要な情報が揃っているか、見直しましょう。

詳細画像が充実（お客さまが知りたい部分やモデル・イメージ画像など）していると、安心してお買い物でき購買率アップにつながります。

カテゴリによって必要な情報は異なりますが、購入の際に気になるポイントで、画像で解決するものは詳細画像で加えておきましょう。

■詳細画像例

詳細画像の構成は以下を参考にしてください。

商品画像枚数別の平均購買率について調査したところ、商品画像、詳細画像を5枚以上設定している商品がそうでない商品に比べ、購買率が105％高いことがわかっています！※2022年6月Yahoo!ショッピング調べ

商品画像の見直しは以下のページをご参照ください。
▶商品画像、商品詳細画像設定を見直す（Yahoo!ショッピングストア限定）※アクセスにはストアアカウントを取得のうえ、ストアクリエイターProへログインが必要です。

商品ページの作り込みについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
▶商品ページの作り込みで効果が変わる｜B-SpaceでYahoo!ショッピングのストアページを作ってみよう!（PC版 商品ページ編）

クーポンを活用する

クーポンを活用し、購入を後押しする施策を導入することで、購買率を向上させることができます。

ぜひクーポンを発行して、購買率アップ、売上アップにつなげましょう！

STORE’s R∞（ストアーズアールエイト）を利用してクーポンを発行すれば、セール時期に限定したり、ターゲットを絞ったりすることも可能です。

クーポンの値引額に迷う場合は以下の記事を参考にしてみてください。
▶クーポン戦略完全ガイド！カテゴリ別・客単価別の値引率＆値引額を大公開

まとめ

ROASを評価する際は、広告費の削減を考えるのではなく、広告の表示状況、クリック率（CTR）、購買率（CVR）を総合的に分析し、適切な改善策を実施することが重要です。

広告の表示機会を最大化するためには、入札価格を適切に調整し、表示回数を増やすことが必要です。

クリック率を向上させるためには、魅力的な商品画像や価格を実現することが求められます。

そして、購買率を改善するには、入札商品を見直し、商品ページの情報を最適化し、クーポンの活用も購入を後押しする有効な手段となります。

適切な広告運用を行い、ROASの改善を目指しましょう！

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