2024年10月21日

損しないクーポン値引!利益も売上もアップが目指せる最適な値引額のヒント

「クーポンを発行すると利益率が下がるので、少し怖い…」と感じたことはありませんか?

クーポンは、購入を後押しする効果的なツールです。売上が伸びれば、利益額もアップします。利用条件を設定することによって、客単価を上げることも可能です。

クーポンは単なる値引きではなく、新規顧客を獲得したり、リピート購入を促進するための重要な戦略でもあります。お客さまの購買意欲を高めつつ、利益を損なうことなく売上を増やすことができます。

そこで今回は、商品の価格帯や粗利率に応じた「損をしない」クーポン値引き額の算出方法を紹介します。

さらに、利益を守りながら売上を拡大するための「損益分岐点の計算方法」や、セール時に効果的なクーポン発行の考え方についても詳しく解説していきます。

この記事のポイント
  • クーポンは購買率アップだけでなく、客単価アップやリピーター獲得にも効果的
  • 適切なクーポン値引き額を設定することで、利益を守りながら売上アップができる
  • 利用回数や対象者を制限することで、過度な値引きを防ぐことができる

クーポンを発行して、損しないか心配なんです・・・

クーポン施策は単なる値引き販売だけではありませんよ!
売れているお店もクーポンを活用して、売上を伸ばしています。損をしないような値引き額を一緒に考えてみましょう。

クーポンを発行するメリット

クーポンには、単なる値引き以上の効果が期待できます。

お得感や特別感を提供することで、お客さまの購買意欲を高め、より多くの購入を促す強力なツールです。

そこで、クーポンを発行するメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

■クーポンを発行するメリット

  • お得感によって購買率があがる
    クーポンがあることでお得に購入できる商品であることが一目でわかり、購入への強い後押しになります。
  • 利用条件をつけることで、複数点買いや高額商品へ促すなど単価アップも見込める
    クーポン利用条件を5千円以上や2個以上など設定することで客単価アップが期待できます。複数購入してもらうと送料の負担も軽減されます。
  • 特別感(限定)によってリピートしてもらえる
    一度購入していただいたお客さまにはメールによるアプローチが可能になり、その後もリピートしてもらうことで定着し、トータルの売上、利益額アップにつながります。

クーポンをうまく活用すると、以下のように新規で獲得したお客さまから継続して購入していただくことも可能になり、売上を伸ばしていくことができます。

■クーポン活用例
※平均商品単価 5,000円、粗利率 30%のストアの場合

【クーポン施策を行っていない場合】
売上:5,000円
値引き:0円
粗利益:1,500円

【クーポン施策を行った場合】
売上:5,000円(初回)+5,000円(2回目)+5,000円(3回目)=15,000円
値引き:500円(初回)+300円(2回目)+100円(3回目)=900円
粗利益:1,000円(初回)+1,200円(2回目)+1,400円(3回目)=3,600円

【クーポン施策を行った場合(利用条件設定)】
売上:10,000円(初回)+5,000円(2回目)+5,000円(3回目)=20,000円
値引き:1,000円(初回)+300円(2回目)+100円(3回目)=1,400円
粗利益:2,000円(初回)+1,200円(2回目)+1,400円(3回目)=4,600円

クーポン施策を行っていない場合、売上 5,000円、粗利益 1,500円という結果のままです。

しかし、クーポン施策を行った場合、「初めての方限定で10%OFF」などのクーポンを発行することによって、検索結果ページからお客さまの興味を引きことができ、新規のお客さま獲得につなげることができます。

その後もメルマガやクーポンを利用して、定期的にアプローチをすればリピートにつながり、結果的に得られる売上や利益額が拡大します。

また、クーポンの利用条件を設定すると客単価アップも狙えます。

単純に値引きで販売することとクーポンを使って販売するのでは、利益を削って売上を伸ばすという点では同じですが、クーポンは客単価アップやリピーター獲得という戦略的な売上効果も期待できるんです!

クーポンの額を決めるための指針とは?

では、実際にどの程度の値引き額が妥当なんでしょうか?

自ストアではどこまでの値引き額ができそうかを把握するために、以下の2点を確認してみましょう。

  1. どのくらいの値引きが許容範囲なのか
  2. 競合他社の値引き率はどのくらいなのか

まずは、どのくらいの値引き率や金額を打ち出せそうかを表でイメージしてもらい、他店の平均値引き率と比べてみます。

1.どのくらいの値引きが許容範囲なのか

商品の価格帯に関わらず、粗利率が異なるため、それに応じた値引き率と粗利額の目安を設定することが重要です。

実際のコストに応じて最適な値引き率を設定する必要がありますが、利益を維持しつつ顧客に魅力的な割引を提供するため、粗利益の半分を値引きにした場合の許容値引額の目安を表にしてみました。

商品価格帯粗利率粗利益の目安許容値引額の目安
~2,000円10%~200円5%(~100円)
20%~400円10%(~200円)
30%~600円15%(~300円)
40%~800円20%(~400円)
50%~1,000円25%(~500円)
2,001~5,000円10%200~500円5%(100~250円)
20%400~1,000円10%(200~500円)
30%600~1,500円15%(300~750円)
40%800~2,000円20%(400~1,000円)
50%1,000~2,500円25%(500~1,250円)
5,001~10,000円10%500~1,000円5%(250~500円)
20%1,000~2,000円10%(500~1,000円)
30%1,500~3,000円15%(750~1,500円)
40%2,000~4,000円20%(1,000~2,000円)
50%2,500~5,000円25%(1,250~2,500円)
10,001円~10%1,000円~5%(500円~)
20%2,000円~10%(1,000円~)
30%3,000円~15%(1,500円~)
40%4,000円~20%(2,000円~)
50%5,000円~25%(2,500円~)

あくまでも許容できる範囲の値引き率や額の目安なので、必ずしもこの金額のクーポンを発行する必要はありません。

値引き率で見ると高くないけど、値引き額で見るとお得に思えるといった心理的な基準もありそうです。

値引き額の違いで迷う場合は、ABテストで試してみるという方法があります。

ABテストについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
『●×円引きクーポン』と『▲▼%オフクーポン』どっちを発行する?値引き金額はどうする?ークーポン金額のお悩み解消編ー

うちの場合は、レディースファッションで商品単価の平均は3,000円、粗利率は40%ぐらいだから、20%OFF(600円)ぐらいまでは値引きしても利益は残るか・・・

でも、そんなに下げなくても良さそうだな。

ここでは値引き率で考えた場合に、どの程度の値引き額になるのか、インパクトはありそうかなどイメージしてみてください。

2.競合他店の値引き率はどのくらいなのか

Yahoo!ショッピング内の他店のクーポン値引き実績を見てみましょう。

以下の表は昨年対比で売上の伸びているストアが、STORE’s R∞(ストアーズアールエイト)を利用して発行したクーポンの平均値引き率を出しています。
※値引き額も率に換算しています。

全体の平均値引き率は6.5%でした。平均より1%以上低い値引き率を青、1%以上高い値引き率を黄で色分けしています。

だいたい5%〜10%の間でクーポンの値引き率を設定するストアが多いのですが、カテゴリによって割合が異なることがわかります。

今回の分析では値引き率で換算していますが、ストアによって値引き額(例:100円OFF、500円OFFなど)でクーポンを用意してもいいでしょう。

実際に売れているお店のクーポン利用実績から調査したものです。
同じカテゴリの競合他店がどの程度の値引き率を設定しているのか確認して、自ストアではどの程度が最適か検討しましょう!

レディースファッションのお店の平均値引き率は8.1%なんだ。10%なら他店にも差をつけられて、お客さまの目を引くかもしれないな!

10%OFFのクーポンを発行した場合(例)

仮に、10%OFFクーポンを発行した場合、どのようになるのか見てみましょう。

【商品例】
商品単価:3,000円
仕入価格:1,800円
粗利益:1,200円
粗利率:40%

この商品に10%OFFクーポンを発行して販売すると、以下のようになります。

クーポン適用後の販売価格:3,000円 ×( 1 ー 0.1 )= 2,700円
クーポン適用後の粗利益:2,700円 ー 1,800円 = 900円
クーポン適用後の粗利率:33.3%

ご覧のとおり、クーポン適用後には粗利率は下がってしまいますが、クーポン効果による販売数の増加は期待できます。

クーポン適用前と同様の利益額を確保する場合に、どのくらい販売数が必要なのかも計算してみましょう。

【平常時】※平常時の販売数を100個とする
売上:3,000円×100個=30万円
粗利益:1,200円×100個=12万円

【12万円分を確保するために必要な販売数】
12万円÷900円=133.3個

平常時の販売数を100個とした場合、クーポン適用後は134個を販売すれば同様の粗利益が確保できます。

バリューコマース調べによるとクーポン利用をしているストアと利用していないストアの購買率(CVR)を比較したところ、クーポンを利用しているストアの購買率は0.5%アップしているという実績が出ています。

また、実際はこの商品をきっかけに他の商品も一緒に買ったりすることもあるので、この基準より販売数が少なくても利益が確保できている場合もあります。

なるほど・・・これぐらいなら利益額も同じように確保できそうだし、クーポンによる効果で売上が伸ばせそうだな。
10%OFFクーポンからはじめてみるか!

自ストアの損益分岐点はどのくらいなのか

クーポンに限らず販促施策を実行する際に、損をしていないかどうかを見極めるための損益分岐点を理解しておきましょう。

損益分岐点とは、売上とコストがちょうど釣り合い、利益がゼロとなるポイントのことを指します。つまり、このポイントを超えた売上を達成すれば、利益が出るという基準です。

クーポンや広告などの施策を行う場合、どの程度までなら利益を維持できるかを判断するために、固定費(ストアの運営でかかる費用、人件費や通信費、事務所や倉庫費用など)と変動費(商品の仕入れ、成果報酬型の広告費、クーポンコストなど)を踏まえた計算をしていきます。

ここでは損益分岐点の計算方法を解説し、販促に使える金額を明確にする方法を紹介します。

計算式は以下のとおりです。

損益分岐点(売上) = 固定費 ÷(1ー(変動費÷売上高))

固定費についてはこちら

固定費とは、売上にかかわらずストア運営において一定額が発生するコストです。売上が増減してもこの費用は変わりません。

■固定費(例)

  • 通信費:ストア運営において欠かせない通信環境に係るもの全般
  • 人件費:従業員の給料など、スタッフの労働にかかるコスト(販売数に関わらず発生するもの)
  • サービス利用料:画像制作や顧客管理ソフトのサブスクリプション費用
  • オフィス・倉庫費用:オフィスや倉庫の賃料、保管料
変動費についてはこちら

変動費とは、売上や取引量に応じて増減する費用のことです。商品の販売量が多くなると、その分だけコストも増加します。

■変動費(例)

  • 商品の仕入れ: 販売する商品を仕入れるための費用
  • 配送費: 商品を発送する際の送料
  • 決済手数料:クレジットカードやPayPalなどでの決済にかかる手数料
  • 梱包材費:商品を発送する際に必要なダンボールや梱包材のコスト
  • 広告費:成果報酬型の広告(アイテムマッチ、プロモーションパッケージ、PRオプションの広告費はここに入る)

例えば、月平均の固定費が30万円、変動費が40万円、売上高が100万円だった場合、損益分岐点は次の計算で求められます。

損益分岐点(売上) = 固定費 ÷(1ー(変動費 ÷ 売上高))
50万円=30万円÷(1ー(40万円÷100万円))

つまり、売上が50万円を超えた部分が利益として計上されます。

売上高が100万円の条件で、利益として30万円が確保できる場合、この30万円をクーポン施策などの販促費用に使える上限とすることができます。

■クーポン施策の具体例

仮に、商品単価5,000円で10%OFFのクーポン(500円引き)を発行した場合、次のようにクーポンによる売上アップが期待できます。

【クーポン利用回数の計算】
利用可能な販促コスト上限は30万円です。この場合、クーポン1枚あたり500円の値引きであるため、クーポンが最大で何回利用されるかを計算します。

クーポン利用回数=クーポンに使える費用÷クーポン1枚あたりの値引き額
600回=30万円÷500円

【クーポン経由の売上の計算】
クーポン利用者が購入した場合の売上を次のように計算します。

クーポン経由の売上=クーポン利用回数×商品単価
270万円=600回×(5,000円ー500円)

実際のクーポン利用回数は、訪問者数や購買率に応じて変動するため正確な数値は不明ですが、クーポン施策を実施することで、「クーポン利用回数 × 商品単価」に相当する売上増加が見込めます。

売上によって変わってしまう変動費の計算が難しいと思っていたんですが、この計算式で損しない売上ラインが簡単にもとめれるんですね。

はい!
販促に使える金額、損をしない売上ラインを把握しておくと安心して施策を打つことができるようになるかと思います。

クーポン発行のタイミングはいつが最適?

クーポンは、ストアの目的や状況に応じて柔軟に発行することで、売上アップやお客さまの購買意欲を効果的に引き出す施策です。

平常時の売上の安定化や、セール時のさらなる売上拡大を狙う際、適切なタイミングでクーポンを提供することで、その効果を最大限に活かすことができます。

平常時のクーポン発行(平日対策)

平常時にもクーポンを発行することは、売上の底上げに有効です。

特に、平日は週末に比べて購入意欲が落ちがちですが、このような時期こそクーポンを発行することで、平日対策としての効果を発揮します。

Yahoo!ショッピングでは毎日がお得なキャンペーンが実施されているので、平日にもお客さまは商品を見に来ています。

曜日別にアイテムマッチの流通総額と商品ページがどのくらい見られているかPV(ページビュー)を調べたところ、日曜日のお買い物は他の曜日に比べて約3倍以上と多いものの、商品ページを見られている比率(曜日別PV)は平日と日曜日でそれほど大きな差は出ていませんでした。(2021年3月時点)

日曜日やセールの日はライバルも多いですが、平日にクーポンを発行していれば、選ばれる可能性は高くなりそうです。

クーポンによる平日対策について詳しくは以下の記事をご参照ください。
お客様は平日に商品探し!? Yahoo!ショッピングのお得な日曜日と平日の傾向を解説|販促は日曜だけじゃダメ!

セール時のクーポン発行

セール時には、通常よりも大胆な割引を提供する絶好の機会です。

このタイミングでクーポンを発行することで、さらなる購買意欲を引き出し、売上アップを狙えます。

ただし、割引額が大きいクーポンを提供する場合は、使われすぎて利益が減少するリスクもあるため、以下のような工夫が必要です。

  • 数量限定
    一定の数量だけクーポンを発行し、利用可能な数を制限することで、過剰な使用を防ぐことができます
  • 利用期間を限定
    セール期間中や特定の日(5のつく日や日曜日など)のみ有効なクーポンを設定することで、短期間で売上を集中させ、効果的なプロモーションを行えます
  • 対象者を絞る
    新規顧客限定や、LYPプレミアム会員、ソフトバンクユーザーといった優良顧客層にのみクーポンを適用することで、効果的にクーポンを活用しながら利益を保つことができます

どのタイミングでどのようなクーポンを発行すべきか、ストアの課題にあった最適な活用を考えてみてください。

クーポンの最適な設定について詳しくは以下の記事をご参照ください。
まだクーポンを使ってない?クーポン発行がもたらす4つのメリットと活用事例、設定ポイントを解説

対象者を絞りたい場合はSTORE’s R∞

クーポンの設定はストアクリエイターProでできますが、ターゲットを絞りたい場合は、STORE’s R∞(ストアーズアールエイト)の利用が必要です。

STORE’s R∞(ストアーズアールエイト)ではYahoo!ショッピングでクーポンを発行する際に、唯一対象者を絞ることができます!

おすすめのクーポン利用対象者はこちらです。

  1. 購買率・客単価の高いお客さま(LYPプレミアム会員、ソフトバンクユーザー)
  2. お誕生月のお客さま
  3. 新規(未購入)のお客さま

クーポン利用対象者について詳しくは以下の記事をご参照ください。
クーポン利用対象者を絞れば絞るほど購買率はアップ!効果もアップ!おすすめターゲットとは?

STORE’s R∞(ストアーズアールエイト)をまだご利用になっていないストア様は、以下のバナーよりご確認ください。

STORE’s R∞(ストアーズアールエイト)の利用には全商品1%以上のPRオプション料率の設定、もしくはプロモーションパッケージにご加入いただくことが必要です。
STORE’s R∞(ストアーズアールエイト)のご利用案内はこちら
オプション設定がまだの方はこちら
PRオプションについてはこちら
プロモーションパッケージについてはこちら

まとめ

今回は、クーポン発行における値引き率、値引き額の決め方のヒントと、損をしないための「損益分岐点の計算方法」について解説しました。

ストアが取り扱う商品の価格帯や粗利率に応じた適切なクーポン値引き額を把握することで、クーポンを効果的に活用できます。

クーポンは購買率や客単価アップ、リピート購入の促進につながり、顧客の育成に大きく貢献します。これにより、長期的には顧客との関係を強化し、売上の安定的な成長が期待できます。

ぜひ今回の内容を参考に、利益と売上を両立させるクーポン施策を実践し、ストア運営に活かしてみてください。

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